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南澤大介先生のミニ・アルバム『COVERS vol.1』

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 南澤大介先生のソロ・ギター・スタイルによるカヴァー曲集
 『COVERS vol.1』が発売されました。

 ボクには単純に、PAN SCHOOL OF MUSIC の専科で
 南澤先生に教わった「ブラックバード」や「ノルウェーの森」、
 それから今後、練習したいと思っている「ヒア・カム・ザ・サン」が入った
 「初の正式録音盤」という嬉しさがあるんですが、
 さすがにそれだけではないですね。

 このアルバムを一言で表現すれば、
 フランス料理でも、中華料理でも、エスニック料理などでもなく、
 日本の「江戸前にぎり寿司のようなアルバム」といった感じでしょうか。

 このアルバムは、「ソロ・ギター・スタイルによるカヴァー曲集」とは言っても
 単に「ソロ・ギターのしらべ」シリーズの別冊ではなく、
 南澤先生の「ソロ・ギター」に対する「こだわり」が感じられる
 かなり繊細な「作品集」となっています。

 収録曲は、
  01. ヒア・カム・ザ・サン
  02. ノルウェーの森
  03. ブラックバード
  04. スカボロー・フェア
  05. 涙そうそう
  06. イマジン
  07. 遥かなる影
 の全7曲。

 ミニ・アルバムということで、ちょっと少なめな感じもしますが、
 いっぺんに聴くには、途中で飽きることもなく、返ってちょうどいい分量です。

 この中で、一番「ソロ・ギターのしらべ」っぽいのは、
 「ヒア・カム・ザ・サン」でしょうかね?

 それ以外は、「ドロップD、2カポで1弦空け」というチューニングだったり、
 「ノルウェーの森」には1弦をシタールのような音にするために
 プラスチック片をエフェクターとして付けていたり、
 「ブラックバード」には原曲のようにエフェクト音として鳥の声が入っていたりと
 「ソロ・ギターのしらべ」シリーズにはない自由なアプローチで演奏されています。
 
 ところが、その「ブラックバード」にしてもエフェクト音は必要最小限。
 原曲では曲の途中のブレイク部分からエンディングまで終始、鳥の声が入っているんですが、
 南澤先生の「ブラックバード」は途中のブレイク部分とエンディングのみ。
 つまり、ギターの演奏にはかぶってないんですよね。
 あくまで「ソロ・ギターのアルバム」という「こだわり」なんだろうと思います。

 その他の曲のエフェクト処理も必要最小限。
 ごく軽く、リバーブがかかっているのみで、
 オーバーダブも、ダブルトラックも、コーラス処理も、
 イコライザーによる低音部の強調なんかもされていません。

 演奏も、叩いたりするようなテクニックは使用せず、
 基本はオーソドックスなフィンガーピッキングのみ。

 それはまるで、江戸前のすし職人が、
 新鮮な生のネタと微妙な味付けのシャリにこだわり、
 あとは手による握りの力加減のみで作り上げる
 シンプルだけど奥が深い「江戸前にぎり寿司」に似たような感じ。

 煮たり、焼いたり、炒めたりすることなく、
 「フィンガー・ピッキングによるギター1本での演奏の生音の良さを生かす」
 というこだわりを感じます。
 
 さらに、「スカボロー・フェア」「イマジン」「遥かなる影」は、
 「ソロ・ギターのしらべ」シリーズに収録されたものとはアレンジも違うし、
 演奏も「ソロ・ギターのしらべ」の見本的なものに比べると
 「弱」の部分が強調された、デリケートな大人の味付けになっています。

 そんなこのアルバムの中で、
 ボク一番、「秀逸!」と感じたのが、「涙そうそう」です。

 実はボクは、原曲の「涙そうそう」は、それほど好きな曲ではありませんでした。
 なんていうか、無理に泣かせようという押し付けがましい、くどさがある感じがして・・・。
 それが南澤バージョンを聴いて「こんなにいい曲だったのか!」と再認識してしまいました。

 この「涙そうそう」は、
 原曲を演奏し、原曲のシンガーである夏川りみさんともツアーで周ったという吉川忠英さんも
 ご自身の「Guitar by Guitar」というアルバムで、ソロ・ギター・アレンジにして演奏されてますが、
 南澤バージョンと聴き比べると、そのアプローチの違いが実に興味深いですね。

 う~ん、なるほどなぁ~。

 ただ、このアルバムは、あくまで「江戸前にぎり寿司のようなアルバム」なので、
 フランス料理や中華料理、あるいはハンバーグやカレーなどといった、
 もっと濃い、はっきりした味付けがお好みの方には、
 ちょっと物足りなく感じるかもしれません。

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先日の“南澤大介ギター・セミナー with HISTORY” で購入、サインを頂きました!

by acogihito | 2008-08-12 21:39 | ★アコギ関連 | Comments(14)  

Commented by まさを at 2008-08-12 23:09 x
こんばんは!

ああっ!
不覚にもまだ未購入ですっ!
早く聴きたいです♪

しかしさすがあこぎひとさんのレヴューですねえ、とても分かりやすく丁寧な表現で参考になります^^

収録曲は7曲なんですね。
毎回調べシリーズがボリューム満点の曲数なので、ちょっと物足りなく感じてしまいました(まだ聴いてもいないのに失礼ですよね^^;)
でも「vol.1」というくらいなのですから、今後の展開も気になりますね!
Commented by 必着仕事人 at 2008-08-13 00:21 x
素敵なレポートありがとうございます!!!

早くGet!しまくてわぁ・・・!!!
Commented by Yasu at 2008-08-13 06:40 x
我が家にもCD、昨日届きました。
江戸前、なるほど確かにそうかもしれませんね!
私も江戸前目指したいです。
Commented by ぴよぴよ at 2008-08-13 07:55 x
うちにもぼちぼち届くかな。
一番楽しみにしている曲は「涙そうそう」です。
Commented by acogihito at 2008-08-13 08:18
まさをさま、ありがとうございます!

南澤先生に「vol.2も作るんですか?」と聞いてみたところ、
「いつになるかわからないけど(作りたい)」とおっしゃっていました。
その前に「ソロ・ギターのしらべ」の10作目の制作だそうです。
それも楽しみです!
Commented by acogihito at 2008-08-13 08:22
必着仕事人さま、ありがとうございます!

「ソロ・ギターのしらべ」シリーズは、譜面にすることが優先され、
しかも1曲1ページが基本だそうで、
そのためフルコーラスじゃない曲もけっこうありますが、
これはフルコーラスの「作品」という感じがいいですよ!

Commented by acogihito at 2008-08-13 08:27
Yasuさま、おはようございます!

そうなんですよね!
薄口で派手なところはないんですけど、
ここまで原曲のメロディーの良さを生かしたアレンジは
南澤先生ならではって感じがボクにはします。

それに難しそうなテクニックがない分、
「自分にもできるかも!」「目指したい!」って気もしてきますもんね!
Commented by acogihito at 2008-08-13 08:38
ぴよぴよさま、おはようございます!

いや~、実はどうしようかと迷っています。

ボクとしては「涙そうそう」はそれほど好きな曲じゃなかったし、
自分はロック系の曲が好きだったので、
この曲は「弾けるようになりたい曲リスト」には入れてなかったんですが、
こうなってくると弾けるようになっていたいかも・・・。

譜面が出てないから、習うとしたら直接習うしかないし、
秋からまたPANで習う予定ですが、その間に追加してやれるだろうか?
「イマジン」や「遥かなる影」も習えるなら習いたいし、
どうしようか??って迷ってます・・・。(@_@)
Commented by s-121sp at 2008-08-13 11:39 x
あこぎひとさんへ
>COVERS vol.1
自分の所にはまだ届いていませんが
あこぎひとさんのコメントを読んで早く聞きたい気持ちです。
自分の師匠への願いと言えば
ソロ、ギター集のフルコーラス編が出版されるといいなと
思っています。
Commented by ぴよぴよ at 2008-08-13 12:36 x
迷わず「弾きたい曲リスト」に入れてください(^^ゞ。
ボクは耳コピなんてとてもできないので、あこぎひとさんが弾けるようになったら、教えてください(^^ゞ。
Commented by acogihito at 2008-08-13 14:30
s-121spさま、こんにちは!

そうですよね、フルコーラス・バージョン。
ボクも同感で、曲数は少なくていいんで、
「ソロ・ギターのしらべ」のベスト盤、フルコーラス篇なんてどうでしょう?
と南澤先生にお願いしたことがあります。

で、このアルバムはフルコーラスなんでいいですよ!!
Commented by acogihito at 2008-08-13 14:36
ぴよぴよさま、

ボクも耳コピはできないんで、先生にお願いしてみましょうか?
12月までに!
Commented by ぴよぴよ at 2008-08-13 21:55 x
ボクのところにも今日届きました(^^)。
Milestone(CD) と Eleven Small Rubbishes(CD+楽譜) も一緒に届きました(^^)。
Commented by acogihito at 2008-08-14 00:01
ぴよぴよさま、こんばんは!

『COVERS vol.1』に入っている「涙そうそう」は、
「Milestone」に入っていてもおかしくないような感じがしませんか?

出だしの音が「雨の停留所」と同じだからなのか?
何となく「雨の停留所」と「Neutrino」と「サンタクロースの弟子」を
合わせたような感じがします。

それだけオリジナルに近い完成度の高いアレンジなんだろうな
なんて思っています。

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