爪
「爪」に関して、いつだったか驚くべき光景を目にしたことがあります。
それは、ある日の電車の中。
いつもより遅い時間の出勤だったので席にも座れ、
隣にはおばさんが座っていたんです。
ボクが先に座っていて後からおばさんが来たのか、ボクが後だったのかは忘れたけど、
とにかく、ごく普通の「年配のおばさん」だったね。
でも、そのおばさんは、ノートパソコンを開き、
かなり速いスピードでタイピングしていたんですよ。
「へぇ~、一見、普通のおばさんだけどパソコンは相当使い慣れてる感じだな」
おばさんのパソコンは少し前のモデルで、相当使い込まれているようでした。
「ありゃりゃ、キーが割れちゃってたりするんだな・・・」
でも、よく見ると、そのキーは割れてるのではなく、穴が開いていたんです。
「パソコンのキーは使い込むと磨かれてテカテカになるけど、穴はどうして開くんだろう?」
不思議に思って、そうっと観察していたら、やっと分かりました。
「爪」です。
おばさんは爪を伸ばしていて、
穴はその爪にぴたりと合うような曲線を描いていたんです。
「爪がパソコンのキーを磨くどころか、表面を削り取って穴を開けちゃったんだ」
その時ボクは、「爪が引っかかって使いにくくないのかな?」と思ったのと同時に、
初めてキツツキが穴を開けた木を見た時と同じような驚きと感動を覚えたものでした。
そんなボクは、今まで爪を伸ばしたことがありません。
いつも深爪ぎりぎりのところまで切っていました。
小さい頃、泥んこ遊びなどをすると爪の間に泥が詰まり、それを見た母が
「わ~やだ、鬼の爪みたい!」なんて言うもんだから
爪は短いにこしたことはないと思ったし、少し大きくなってからも、
プラモデルを作って塗装なんかすると塗料が爪の間に詰まって、
それを洗い取るのがすごく面倒だったりもしたからね。
それから、つい最近までやっていたバンドではベース担当で、
基本はピック弾きだったけども力を入れると右手人差し指の爪が弦に当って、
いつも変な形に削られていたりもしたから。
それに、指弾きの時も指の腹で弾いた方がずっしりとした低音が出るしね。
そんなわけでボクは爪を伸ばしたことがなかったし、
あまり気にもしたことがなかったんです。
ところが今、生まれて初めてと言っていいほど、爪を伸ばしているんです。
わずか1.5ミリ~2ミリではあるけど、右手の小指を除いた4本の指たち。
どうしてかといえば、今、アコースティック・ギター(アコギ)の練習をしているからで、
ボクはこれまで、アコギといえどもどっちかというとピック弾きが多かったんだけど、
今年はよりグレードアップするため、フィンガー・ピッキングの練習を始めたんです。
教則本によると、弦を押さえる左手は深爪くらい短くていいけども、
弦を弾く右手の爪の長さは1.5ミリ~2ミリくらいがいいらしい。
う~む、なるほど。
確かに指の腹で弾くマイルドな音に爪で弾くカリッとした音が加わって悪くないな。
でも、この爪の長さが非常に微妙なんですよねぇ。
ちょっと長いと変に弦にひっかかって弾きづらいし、短すぎると意味がない。
また、爪を当てる角度によっても全然音が違ってくるし、切り方も重要。
「う~む、これは当面、爪の研究も必要だな」
ところが、今まで爪を伸ばしたことがなかったから、普段も気になって仕方ないんですよ。
まるで、歯に何かが挟まったのが気になって舌でこちょこちょやるように、
年中、爪の先端をいじってしまったり、親指とその他の指の爪どうしで
カチカチ引っ掛けてみたり。
あんまりいじって爪を傷めてしまっては意味がないからねぇ。
「う~む、爪って偉大だな」
今まで爪は、ヒゲなどのように意味もなく伸びてきて、
どちらかといえば邪魔もののような気がしていたけども、
今、改めてその偉大さに感じ入ってる次第です。
だけど、今、すでにテカテカになっているボクのパソコンのキーは、
やがて伸ばした爪によって、文字が削り取られ、そして穴が開くまでになってしまうのかな
と思うとちょっぴり不安でもあります。
できれば穴は開いて欲しくないと思うし、でも、穴が開くとしたらどのくらいで開くのか、
キツツキが穴を開けるところを見てみたいように、ちょっと試してみたい気もするし、
それはまるで歯に何かが挟まったのが気になって舌でこちょこちょやるように、
気なって仕方ないんです。
それは、ある日の電車の中。
いつもより遅い時間の出勤だったので席にも座れ、
隣にはおばさんが座っていたんです。
ボクが先に座っていて後からおばさんが来たのか、ボクが後だったのかは忘れたけど、
とにかく、ごく普通の「年配のおばさん」だったね。
でも、そのおばさんは、ノートパソコンを開き、
かなり速いスピードでタイピングしていたんですよ。
「へぇ~、一見、普通のおばさんだけどパソコンは相当使い慣れてる感じだな」
おばさんのパソコンは少し前のモデルで、相当使い込まれているようでした。
「ありゃりゃ、キーが割れちゃってたりするんだな・・・」
でも、よく見ると、そのキーは割れてるのではなく、穴が開いていたんです。
「パソコンのキーは使い込むと磨かれてテカテカになるけど、穴はどうして開くんだろう?」
不思議に思って、そうっと観察していたら、やっと分かりました。
「爪」です。
おばさんは爪を伸ばしていて、
穴はその爪にぴたりと合うような曲線を描いていたんです。
「爪がパソコンのキーを磨くどころか、表面を削り取って穴を開けちゃったんだ」
その時ボクは、「爪が引っかかって使いにくくないのかな?」と思ったのと同時に、
初めてキツツキが穴を開けた木を見た時と同じような驚きと感動を覚えたものでした。
そんなボクは、今まで爪を伸ばしたことがありません。
いつも深爪ぎりぎりのところまで切っていました。
小さい頃、泥んこ遊びなどをすると爪の間に泥が詰まり、それを見た母が
「わ~やだ、鬼の爪みたい!」なんて言うもんだから
爪は短いにこしたことはないと思ったし、少し大きくなってからも、
プラモデルを作って塗装なんかすると塗料が爪の間に詰まって、
それを洗い取るのがすごく面倒だったりもしたからね。
それから、つい最近までやっていたバンドではベース担当で、
基本はピック弾きだったけども力を入れると右手人差し指の爪が弦に当って、
いつも変な形に削られていたりもしたから。
それに、指弾きの時も指の腹で弾いた方がずっしりとした低音が出るしね。
そんなわけでボクは爪を伸ばしたことがなかったし、
あまり気にもしたことがなかったんです。
ところが今、生まれて初めてと言っていいほど、爪を伸ばしているんです。
わずか1.5ミリ~2ミリではあるけど、右手の小指を除いた4本の指たち。
どうしてかといえば、今、アコースティック・ギター(アコギ)の練習をしているからで、
ボクはこれまで、アコギといえどもどっちかというとピック弾きが多かったんだけど、
今年はよりグレードアップするため、フィンガー・ピッキングの練習を始めたんです。
教則本によると、弦を押さえる左手は深爪くらい短くていいけども、
弦を弾く右手の爪の長さは1.5ミリ~2ミリくらいがいいらしい。
う~む、なるほど。
確かに指の腹で弾くマイルドな音に爪で弾くカリッとした音が加わって悪くないな。
でも、この爪の長さが非常に微妙なんですよねぇ。
ちょっと長いと変に弦にひっかかって弾きづらいし、短すぎると意味がない。
また、爪を当てる角度によっても全然音が違ってくるし、切り方も重要。
「う~む、これは当面、爪の研究も必要だな」
ところが、今まで爪を伸ばしたことがなかったから、普段も気になって仕方ないんですよ。
まるで、歯に何かが挟まったのが気になって舌でこちょこちょやるように、
年中、爪の先端をいじってしまったり、親指とその他の指の爪どうしで
カチカチ引っ掛けてみたり。
あんまりいじって爪を傷めてしまっては意味がないからねぇ。
「う~む、爪って偉大だな」
今まで爪は、ヒゲなどのように意味もなく伸びてきて、
どちらかといえば邪魔もののような気がしていたけども、
今、改めてその偉大さに感じ入ってる次第です。
だけど、今、すでにテカテカになっているボクのパソコンのキーは、
やがて伸ばした爪によって、文字が削り取られ、そして穴が開くまでになってしまうのかな
と思うとちょっぴり不安でもあります。
できれば穴は開いて欲しくないと思うし、でも、穴が開くとしたらどのくらいで開くのか、
キツツキが穴を開けるところを見てみたいように、ちょっと試してみたい気もするし、
それはまるで歯に何かが挟まったのが気になって舌でこちょこちょやるように、
気なって仕方ないんです。
by acogihito | 2007-02-02 10:22 | ★アコギ関連 | Comments(0)