
1997年に現代ギター社から出版された
『図説
ギターの歴史』という本を
古書店で見つけ買いました。
ドイツ語の翻訳本のようなんですが、
その日本語がちょっと読みづらいのが玉に傷・・。
でも内容は、とっても興味深いものでした。

ギターのルーツ、
ギターのように抱えて演奏する弦楽器は、
紀元前4000年ごろからあるのは
壁画などから確認できるそうなんですが、
それがどんな音色の楽器だったか
どんなチューニングだったは、
わからないようです。
はっきりしてくるのは、15~16世紀ごろから。
その頃、ヨーロッパではタブラチュアという
今のTAB譜の原型のような譜面ができて
それが残っているから分かるんだそうです。

当時はギターではなくリュート。
ギターというよりマンドリンのような形ですよね。
チューニングは、6弦から
G-C-F-A-D-G
だったそうです。
弦と弦の音程差は、
|完全4度|完全4度|長3度|完全4度|完全4度| で、
今のギターと違って、
4弦と3弦の間が長3度なんですね。
なぜ完全4度の音程差を基本にチューニングされているのかは
この本には書いてありませんでした。
例えばバイオリンは、
G-D-A-E と
完全5度の音程差でチューニングされています。
主にメロディーを弾くバイオリンは
その方が狭い範囲に広い音域が収まって
都合がいいのかもしれません。
でも、メロディだけでなく伴奏(和音)も弾くリュートは、
完全4度くらいがちょうど良かったのかもしれませんねぇ。
で、さらに、完全4度じゃ音が離れ過ぎて、
3度で重なる和音が弾きづらくなる個所もあるんで
半音少ない長3度の場所も作ったんでしょうか??
それからこの頃は、マンドリンや12弦ギターのように
2本一組の複弦になっているんですよね。
それは音量を稼ぐためと
低音弦はオクターブ違いで重複させて
倍音を豊かにするためだったようです。
当時は全部ガット弦だったわけですからね。
しかもきっと今より質の悪い・・・。

その後、形が今のギターに近いビウェラという楽器が登場。
そのビウェラの6本の弦の上と下を1本ずつはずして
4本弦にしたギターラという楽器ができ、
これが今のギターへと進化していったようです。
音程差は、 |完全4度|長3度|完全4度|
必ず長3度が入っているのも不思議です。
16世紀末には、
この4弦のギターの低音側に1本足されて
|完全4度|完全4度|長3度|完全4度| の
5弦になっていたそうです。
今のギターの5弦から1弦と同じ。
ただ弦の長さは長短いろいろあったようですので、
チューニングもいろいろあったのかもしれません。
今もバリトンギターとかギタレレとか
いろいろありますもんね。
16世紀末~18世紀までは、
そんなギターだったようです。

そして18世紀末、
ある画期的な発明から
今のギターの原型ができあがりました。
それは「巻弦」の発明です。
この発明によって倍音豊かな低音が出せるようになって
さらに下に6本目の弦が足されるようになりました。
複弦も必要なくなって1本弦が主流になりました。
弦の音程差は、
|完全4度|完全4度|完全4度|長3度|完全4度|
チューニングも
E-A-D-G-B-E という
今のギターと同じになりました。
1770年~1800年頃だそうです。

この6弦の E を足すことで
クラシック音楽によくある終止形のT-S-D-Tを
いろんなキーで演奏しやすくなったということと、
メロディーと和音が弾きやすくなったことが
あげられるそうです。
T-S-D-T、
トニック→サブドミナント→ドミナント→トニック
Aキーで言えば、A→D→E→A
が弾きやすくなったということなんですかねぇ??
音楽理論の本も少し読んでみると
カデンツとかケーデンスという
クラシック音楽ではお決まりの
「終止形」というものが出てくるので、
何となく繋がってきます。
ところで、音楽理論の本には、
「テトラコルド」という古代ヨーロッパで決められた
ドレミファソラシドの基本について書かれていたりするんですが、
そこで重要になるのが「完全4度」という音程差なんですよね。
「
5度サークル」も反時計回りに見れば「4度サークル」だし、
ギターの弦と弦の音程差が4度が基本になっているのも
実はそんなところから来ているのかもしれませんよねぇ~。
試しに全弦を4度間隔でチューニングしてみると
コードが押さえられなくなってしまいます。
3弦と2弦の間が半音短い
長3度になっているだけで全然違うもんです。
いろいろな人が長い歴史の中で様々な工夫をして
今のギターができているんですねぇ。
そして、この先もギターはどんどん進化していくんでしょうし、
いろいろ興味が尽きません。
「TOKYOハンドクラフト・ギターフェス」で見かけた古楽器